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ツマアカスズメバチについて

2021年10月12日

おはようございます。

令和3年 10月12日火曜日担当の井戸口です。

今回はツマアカスズメバチについてご紹介致します。

世界中でミツバチを食い荒らす
外来種「ツマアカスズメバチ」が増大中

「ツマアカスズメバチ」という、外来種スズメバチが2012年頃より、日本の対馬でも確認されるようになっています。

実は今、この蜂による被害が世界規模で増大しています。
この蜂は非常に凶暴で、人にとって危険というだけなく、ミツバチを主食としているため、養蜂業や農業に打撃を与える可能性があります。

ツマアカスズメバチが脅威とされているのは、

  • ・生息範囲を急激なスピードで拡大する
  • ・養蜂業・農業への被害(生態系の破壊)をもたらす
  • ・人への被害も大きい(刺害事故の多発)

といった点で、侵入した各地で甚大な損害をもたらすことにあります。

このツマアカスズメバチの脅威と実態について、被害の現状・予想されるこれからの被害をまとめました。

ツマアカスズメバチとは
~非常に高い攻撃性を持つ。ミツバチを主食とする外来種~

ツマアカスズメバチは1836年に存在が確認された、インドネシア・ジャワ島原産のスズメバチです。
全体的に黒い体をしていて、和名の「ツマアカ」という呼称は、お腹の先端が赤みを帯びた色をしていることから名づけられました。

その分布範囲は日本以外のアジア全域にわたっており、非常に広大です。
女王蜂は最大30mmほどの大きさになり、これは日本に生息するスズメバチの平均サイズと比べても遜色ありません(国内最大はオオスズメバチの約40mm)。

田舎だけでなく都市部にも生息することが可能で、分布範囲の広さと相まって、本来生息していなかった地域へ拡大する原因となっています。

食性はほかのスズメバチ同様肉食で、幼虫のエサにするためにさまざまな昆虫への狩りを行います。
ハエ・ミツバチ・トンボを捕獲することが多く、特にミツバチを好みます。

非常に高い攻撃性を持ち、一度獲物・敵と定めた相手に対しては執拗に攻撃をくり返す習性があります。

最大の脅威はその増加スピード
ヨーロッパ・アジア全域で猛威を振るう

ツマアカスズメバチの外来種としての最大の脅威は、その生息圏を拡大するスピードにあります。

ヨーロッパでは初期、2005年頃にフランス南西部のみで確認される程度でしたが、2010年にはすでにフランス南部・西部を超え、スペイン北部にまで進出しています。さらにその2年後(2012年)には、ポルトガル、ベルギー、ドイツでも確認されるようになっています。

これにはいくつかの理由が考えられ、

  • ・陸続きの欧州内では、蜂の移動・流入が容易だった
  • ・欧州での盛んな貿易によって、荷物に蜂が紛れ込むことが容易だった
  • ・蜂の侵入に対し広大なヨーロッパ大陸での組織だった対策が困難であった
  • ・餌となるミツバチが、外敵への抵抗力が弱い養蜂用セイヨウミツバチだった
  • ・ヨーロッパのスズメバチは小型種が中心であり、競合相手が少なかった

といった点が重なり合った結果、爆発的な分布の拡大・生息数の増大を招いたと考えられます。
このヨーロッパでの流入状況は深刻で、ドーバー海峡を隔てたイギリスにも生息域を広げていく危険性が、研究者より指摘されています。

またアジアに目を向けても、2003年に釜山で確認されて以降、韓国での被害が拡大し続けています。
韓国では既に在来種のスズメバチを上回る数が生息しており、生態系が崩れてしまった地域も存在します。

更に、その凶暴性から人に対する刺害事故も多数発生しています。

生態系への影響
~対馬では養蜂業者への被害が甚大、1年でほぼ全域に分布~

この蜂は、2012年には長崎県・対馬への侵入が確認されています。中国原産の個体が船などで紛れ込んできたとみられています。
当初は島の北部のみでしたが、わずか1年ほどで島の南部にも巣が見られるようになりました。

対馬ではニホンミツバチを使った日本古来の養蜂業が盛んに行われているため、ミツバチをエサとするツマアカスズメバチによって、既に甚大な被害が発生しています。
ひとつの養蜂業者だけで年間、10以上の巣箱(蜂洞)が全滅させられたという報告もあり、今後の拡大の脅威を感じます。

ニホンミツバチには元来、スズメバチに巣が襲われた際、集団で敵の蜂に群がり、体温を高めて蒸し殺す「蜂球」をつくり撃退するという習性があります。

しかしツマアカスズメバチの場合、その狩りの方法は巣への侵入ではなく、巣に戻ってくる直前のミツバチを1匹ずつ個別に襲うことが大半です。
このため、国内のスズメバチと異なりニホンミツバチの自衛手段が通用しません。

さらに対馬には大型種のスズメバチが生息しておらず、小型種のキイロスズメバチしかいません。
このため攻撃性が強く体の大きなツマアカスズメバチが即、虫たちの生態系で頂点に立つこととなり、大半の昆虫はその餌になってしまいます。

キイロスズメバチもまた、ツマアカスズメバチとの競争では体格差・群れの増加スピードの差から負ける可能性が非常に高いのです。

天敵となるものがなく、一方的にツマアカスズメバチからの捕食が繰り返された結果、対馬の生態系が完全に崩壊してしまう危険性すらあります。

日本での被害リスク1:
ミツバチ減少で農作物に奇形が増加。九州には既に侵入の可能性

ツマアカスズメバチは、研究者の間では既に、すぐそばの九州へと侵入している可能性も高いと考えられています。

迅速な対応策をとらなければこれらの危険は、遅かれ早かれ対馬ばかりでなく、日本列島全体に拡大する可能性が高いと言えます。

日本の養蜂業の中心はニホンミツバチ以上に外敵に弱いセイヨウミツバチですから、もしもツマアカスズメバチが侵入・増加し続けた場合、多数がその餌食となってしまいます。

そして各地でミツバチが壊滅的な被害を受ければ、それを利用した受粉を行う農業作物が、多大な損害を受けることになります。

蜂を受粉に利用している作物は、以下のようなものがあります。

<蜂による受粉を行う野菜・フルーツ>野菜かぼちゃ、ナス、きゅうり、トマト、ピーマン、ズッキーニ   ほかフルーツいちご、すいか、メロン、なし、ブルーベリー         ほか

受粉をミツバチに頼るこれらの野菜・フルーツは、ミツバチの数が大きく減少した場合、人の手による受粉作業が必要になります。

ミツバチによるものに比べるとはるかに効率が落ちる上、花ごとの受粉に偏りが生まれて、果実に奇形が生まれる確率が非常に高くなります。そうなれば、農業に対する経済被害もとても大きなものとなってしまいます。

日本での被害リスク2:
非常に凶暴、都市部に住みつく。高層ビルにも巣をつくる

さらに怖いのが、蜂に刺されることによる人的被害です。

ツマアカスズメバチは大変攻撃性の高い性質をしており、一度攻撃をはじめると執拗に繰り返し、相手を襲います。人間に対してもそれは変わりません。

また、都市部での活動も容易に行います。
本来、10メートルを超える樹木の高い枝に巣をつくる習性があるため、韓国での増加の際には高層マンションへ巣をつくった結果、住人が刺されてしまうケースが多く見られました。

高層マンション・アパートの多い日本でも、韓国同様の被害が多数起きることが予想されます。台湾・東南アジアでは刺されたことによる死者も出ています。

被害を未然に防ぐにはここ10年が勝負。
研究者たちの地道な活動が続いている

日本列島への被害を未然に防ぐため、大学など数多くの研究者が対馬を訪れ、ツマアカスズメバチへのさまざまな調査・対処法の研究を行っています。

研究者によれば生息域の拡大スピードが早いツマアカスズメバチ被害への対策は

  • ・これ以上の侵入を許さない
  • ・発見するたびに駆除し、拡大を防ぐ

という2点しかなく、これから10年間が勝負であると言われています。

テレビでの放送がありましたが、私たちの考えるリスクよりも取り扱いが非常に小さく、危機感を持っています。

蜂駆除業界に身を置く者としてはこれら被害が拡がればむしろメシの種となるかも知れません。
ですが、このままではブラックバスやカミツキガメ、マングースなど以上の日本の生態系を壊す問題になり得ます。

騒ぎ過ぎかも知れませんが、それでも侵入を許して対応策が取れなくなるよりはマシだと考えています。
このニュースがいつの間にか忘れ去られて、気が付けば日本列島にツマアカスズメバチが大繁殖しているような事態は防がなくてはいけません。

私たちにできることは、

本土:
日本全体の生態系問題としてツマアカスズメバチの脅威を唱えて下さい。

対馬(九州含む?):
ツマアカスズメバチを発見したら、すぐに地域の役所に通報して下さい。

外来生物は定着してしまえば駆除の手立てはほとんどなくなってしまいます。未然に防ぐべく、私たちも微力ながら協力していきます。

まだまだハチのシーズンは終わりません。安全対策を取りながら、挑戦したいものですね。

ハチ駆除の件でお困りの際は、是非日東防疫㈱までご連絡下さい。

以上、大分オフィスの井戸口でした。

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